Documentation Quality Standard
Status: Draft Version: v1.0 Updated: 2026-01-07
本標準は、プロジェクトリポジトリ内のドキュメントの品質を高品質に保つための方針・ルール・ベストプラクティスを定めます。生成AIを活用しながら、変更理由を追跡でき、現在の仕様が分かり、誰でも運用できる状態を維持することを目的とします。
目的
この標準では、要件・設計・意思決定・運用を Git管理し、生成AIを活用して以下の状態を維持します:
- 変更理由を追跡できる(Why):なぜその決定をしたのか、なぜ変更したのかが分かる
- いまの仕様が分かる(What):現在の状態・仕様が明確に記録されている
- 誰でも運用できる(How):新しいメンバーでも運用・開発に参加できる
基本方針(原則)
以下の原則に基づいてドキュメントを管理します:
- Docs as Code:ドキュメントはコードと同じくレビュー・履歴・差分で管理する
- 1ドキュメント1目的:混ぜない(要件と運用、仕様とADRなど)
- 決定はADRに残す:設計判断・採用理由・代替案・影響範囲を記録
- 最新は常に1箇所:同じ情報を複数ファイルに重複させない(リンクで参照)
- テンプレート駆動:新規作成は templates から作る
- 小さく頻繁に更新:大改修より、差分が追える粒度で更新
ドキュメント体系(何をどこまで書くか)
1. 要件(Requirements)
- 対象:目的、スコープ、ユースケース、非機能(SLO/制約/セキュリティ)
- 成果物:要件定義書(RD)
- 注意:実装詳細は書かない。仕様・設計に委譲する。
2. 機能仕様(Functional Spec)
- 対象:画面/IF/データ/処理の振る舞い、例外系、受入条件
- 成果物:機能仕様書(FS)
- 注意:内部設計(クラス/モジュール構造)は書きすぎない。
3. 設計(Design)
- 対象:アーキテクチャ、構成、データモデル、IF設計、シーケンス
- 成果物:設計書(DD)
- 注意:設計判断の「理由」はADRへ。
4. ADR(Architecture Decision Record)
- 対象:採用/不採用の理由がある判断すべて(技術選定、構成、運用方式、規約)
- 成果物:ADR(番号付き)
- 注意:結論だけでなく「代替案」「トレードオフ」「影響範囲」を必ず残す。
5. Runbook / 運用手順(Operations)
- 対象:デプロイ、障害対応、バックアップ/リストア、監視、更新手順
- 成果物:運用手順書(Runbook)
- 注意:オンコールが読んで動ける粒度。コマンド例と検証観点を含める。
6. 開発者向け(Developer Guide)
- 対象:ローカル起動、開発フロー、lint/test、ブランチ運用、リリース
- 成果物:CONTRIBUTING / 開発ガイド
AI活用ルール(生成AIを”記録の仕組み”に組み込む)
AIに任せてよいもの
- 初期ドラフト、叩き台、チェックリスト化、文章の整形、差分要約
- 運用手順の安全なコマンド例の提案(要レビュー)
人が必ず確認するもの(特に重要)
- セキュリティ、鍵/秘密情報、ネットワーク公開範囲
- 本番の破壊的操作(削除、上書き、データ移行、証明書更新)
- コンプライアンス、契約、課金、法務
プロンプトの残し方
- 重要な生成物は「生成に使った前提・入力・制約」を
docs/promptsに残す - ADRには「AIが提案した案」「採用しなかった理由」を短くでも残す
命名規則
- ファイル名:kebab-case(例:
mail-requirements.md) - 日付付きファイル:
YYYY-MM-DD_を先頭(例:2025-12-16_release-note.md) - ADR:
adr-0001-<title>.md形式で連番(例:adr-0001-initial-architecture.md) - changelog:
docs/changelog/配下はYYYY-MM.md形式を推奨(例:2025-12.md)
レビュー運用(推奨)
- Docs変更もPR対象(軽微なら自己レビューでもよいが履歴は残す)
- “仕様変更”は必ず「関連ADR」または「変更理由」をPR本文に書く
- リリース単位で
docs/changelog/にまとめる(任意)
標準ディレクトリ構成
docs/
├── README.md # この方針ドキュメント(入口)
├── index.md # 目的別リンク集(中〜大規模プロジェクトでは推奨)
│
├── 00_overview/
│ ├── project-charter.md # 目的/背景/成功条件/関係者(stakeholders)
│ ├── glossary.md # 用語集(単一ソース)
│ └── context.md # 現状/前提/制約(AI入力にも使う)
│
├── 10_requirements/
│ ├── requirements.md # 要件定義(RD)
│ ├── non-functional.md # 非機能(SLO/制約/セキュリティ/可用性)
│ └── acceptance-criteria.md # 受入条件(テスト観点の元)
│
├── 20_specs/
│ ├── functional-spec.md # 機能仕様(FS:画面・業務フロー・UI)
│ ├── api-spec.md # API仕様(OpenAPI等に分けてもよい)
│ └── data-spec.md # データ仕様(スキーマ/制約/サンプル)
│ # 注:UI仕様やワークフローは functional-spec.md の下位セクションとして扱うことを推奨
│
├── 30_design/
│ ├── architecture.md # 構成/アーキ概要
│ ├── sequence.md # 主要フロー
│ ├── deployment.md # デプロイ構成(Docker/Traefik/インフラ/コンテナオーケストレーション)
│ └── security.md # セキュリティ設計(公開範囲/証明書/秘密管理)
│
├── 40_adr/
│ ├── adr-0001-template.md # ADRテンプレ
│ ├── index.md # ADR一覧・索引(推奨)
│ └── adr-0001-xxxx.md # ADR本体(例:adr-0001-initial-architecture.md)
│
├── 50_runbook/
│ ├── operations-overview.md # 運用全体像(監視・責務)
│ ├── deploy.md # デプロイ手順
│ ├── backup-restore.md # バックアップ/リストア手順
│ ├── incident-response.md # 障害対応の手順
│ └── maintenance.md # 定期作業(証明書更新など)
│
├── 60_dev/
│ ├── developer-guide.md # 開発環境/起動/テスト
│ ├── contributing.md # PR規約/ブランチ戦略/レビュー観点
│ └── coding-standards.md # コーディング規約(小規模プロジェクトでは developer-guide.md や contributing.md に統合可)
│
├── 70_prompts/
│ ├── prompt-library.md # 使えるプロンプト集(コピペ用)
│ ├── rd-draft.md # 要件ドラフト生成用入力
│ ├── adr-draft.md # ADR作成用入力
│ └── runbook-draft.md # 手順書作成用入力
│ # 注:AI活用するプロジェクトでは必須、それ以外は任意
│
├── templates/
│ ├── requirements-template.md
│ ├── functional-spec-template.md
│ ├── runbook-template.md
│ └── decision-template-adr.md
│ # 注:GitHub/GitLab の issue/PR テンプレートは通常 .github/ や .gitlab/ に配置
│
└── changelog/
└── 2025-12.md # 月次/リリースノート(任意)
最小セット(まずはこれだけで回る)
プロジェクト開始時は、以下の最小セットから始めることを推奨します:
docs/README.mddocs/10_requirements/requirements.mddocs/20_specs/functional-spec.mddocs/40_adr/adr-0001-<title>.md(例:adr-0001-initial-architecture.md)docs/50_runbook/deploy.md
追加ルール(重要)
秘密情報の管理
- 秘密情報は絶対に置かない:鍵・パスワード・トークン・実IP等
- 必要なら
env.exampleと、秘密は Secret Manager /.env(gitignore)
図表の管理
- 図は
docs/assets/に置く - Mermaid推奨:差分が追いやすい
参考
- ADR (Architecture Decision Records) - ADRの公式サイト
- Documentation as Code - Docs as Codeのベストプラクティス